優先株式をご存じでしょうか?
優先株式は、配当が多くもらえるなど一部優先的な権利をもつ株式です。
個人投資家が目にすることはあまりありませんが、実は伊藤園の優先株式は誰でも購入可能です。
そこで今回は、伊藤園の優先株式をベースに優先株式とは何ぞやをご紹介したいと思います!
優先株式とは?
株式会社は、配当や倒産時の残余財産の分配について普通株式より優先的な地位を持った株式を発行することができます。これを優先株式と呼びます。
こちらは会社法108条に規定があります。
第百八条 株式会社は、次に掲げる事項について異なる定めをした内容の異なる二以上の種類の株式を発行することができる。ただし、指名委員会等設置会社及び公開会社は、第九号に掲げる事項についての定めがある種類の株式を発行することができない。
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=417AC0000000086
一 剰余金の配当
二 残余財産の分配
三 株主総会において議決権を行使することができる事項
四 譲渡による当該種類の株式の取得について当該株式会社の承認を要すること。
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何を優先させるかは異なる種類の株式を発行する際に会社が決定します。
ですので、優先株式の内容は会社ごと・種類株式の発行ごとに異なります。「配当は多くもらえるが、残余財産の分配は普通株式と同じ」「配当は普通株式と同じだが、残余財産の分配で優先権がある」などの場合もあります。
日本市場で購入可能な優先株式
優先株式は基本的に市場で出回ることはありません。
そんな中、個人投資家でも購入可能な優先株式が伊藤園の優先株式になります。
現在市場で購入可能な優先株式は伊藤園の第一種優先株式(25935)のみとなります。
ここ数十年で数が増えていないところを見るに、今後増えることも基本的にはないと思います。
優先株式ETFについてはコチラの記事で紹介しています!
⇒【個人投資家が優先株式に投資するには?おススメの優先株式ETFをご紹介!
伊藤園の優先株式「伊藤園第一種優先株式」
ここからは伊藤園の優先株式について紹介したいと思います。
伊藤園の株主優待狙いであれば、普通株式だけでなくこちらも選択肢に入るかと思いますので、是非参考にしてください。
伊藤園の普通株式の銘柄コードは2593ですが、伊藤園の優先株式の銘柄コードは一桁多い25935になります。
伊藤園第一種優先株式(25935)
普通株式と異なる主な点は以下となります。
- 議決権(無)
- 配当(多)
一言でまとめると、伊藤園の優先株式は、議決権がない代わりに配当が多くもらえます。
また、残余財産の分配については、累積された不足分の優先配当に相当する額の支払いを除き、普通株主と同等となります。
それぞれ少し解説します。
配当
伊藤園の優先株式では、普通配当額×125%の配当が支払われます。
また、配当の下限は15円となっており、普通株式が無配の場合も15円支払われます。仮に未払いとなった場合も未払い分は累積されます。
ここ数年、普通株式の配当は年間40円、優先株式では50円(40*1.25)の配当となっています。
議決権
伊藤園の優先株式には議決権がありません。
また、議決権がないため株主総会の招集通知も届きません。
伊藤園普通株式との株価比較
伊藤園第一種優先株式の上場時期は2007年9月になります。
また、その際に普通株式を保有していた株主に対しては、普通株式1株につき0.3株の割合をもって優先株式が無償割り当てされています。
伊藤園(2593)の株価は6000~7000円程度、伊藤園第一種優先株式(25935)の株価は2000~3000円程度の価格となっており、大きく差がついています。
値段的に手が出しやすいのは優先株式ということになりますね!
■伊藤園(2593)最新株価
https://finance.yahoo.co.jp/quote/2593.T
■伊藤園第一種優先株式(25935)最新株価
https://finance.yahoo.co.jp/quote/25935.T
上場からの株価のパフォーマンスを確認したいと思います。
左側の赤線が第一種優先株式の上場日となります。
上場当初は通常の株式と同様のパフォーマンスをとっていますが、2016年頃から株価のパフォーマンスに大きな差が出ています。
普通株式が大きくチャートが上昇する一方、優先株式は横横のチャートとなっています。
伊藤園第一種優先株式は値上がり益があまり期待できないことが分かります。
株式の種類は異なりますが、あくまでどちらも伊藤園の株式です。
売上や営業利益、経常利益、自己資本など会社の業績や財務状況に違いはありません。
伊藤園の株主優待情報
伊藤園の株主優待の基本情報については下記となります。
普通株式と優先株式で内容に相違はありません。
■権利確定月 4月末
100~999株 | 自社製品詰め合わせ 1500円相当 |
1,000株以上 | 自社製品詰め合わせ 3000円相当 |
また上記株主優待と合わせて通信販売パンフレットが送付されます。
保有株数に応じて掲載商品を優待割引価格で購入可能です。
株主優待の株式数ですが、普通株式と優先株式の2種類の株式を保有している場合には、その合計株数ではなく、それぞれで判定されます。
あくまで普通株式と優先株式は別物という扱いになります。
まとめ
伊藤園の優先株式についてご紹介しました。
優先株式は議決権がないものの、多くの配当を受け取ることができ、株主優待も受け取ることができます。
但し、普通株式に比べて株価のパフォーマンスは悪く値上がり益は期待できません。
伊藤園の普通株式は現在かなり割高な水準にあり利回りも高くありません。その点、優先株式は普通株式に比べると割安な水準にあり、配当利回りも高いです。
長期保有前提で配当も狙っていきたいというところであれば、普通株式と優先株式の併用での保有。株主優待や配当狙いであれば優先株式で一単元のみの購入なども検討してみると面白いかもしれません。
優先株式に興味を持った方はぜひ保有も検討してみてください!